滞納は不動産運営の巨大な難敵

不動産を運営する上で、一番きらいなものは、滞納ですね。
小粒でも、経営に与えるダメージは大きなものがあります。

キャッシュフローが入ってこない、追い出しもできない

当然ですが、滞納されると家賃収入が入ってきません。当たり前ですね。

一方で、不動産経営のコストはほとんど固定費(借入返済、管理費)ですので、
手残りキャッシュは滞納分まるまる減少することになるのです。

滞納があった月のキャッシュフローは、小さなアパートだと本当に寂しい
ものになってしまいます。

また、滞納したからと言ってすぐに部屋から追い出すわけにもいきません。
(昔はやっていたようですけどね)
このため、滞納は初期において迅速に回収しなければ、いつまでたっても
回収できなくなりがちです。
滞納者も滞納という状況に慣れてしまい、罪悪感が薄れてしまうのですね。

これはこれで、最終的には裁判などで決着をつけるしか無いのですが、
滞納の最大の問題は、キャッシュフローが無いにもかかわらず、
税金は払わないといけないというダブルパンチにあります。

収入がないのに、税金がかかる

滞納されると、キャッシュが入ってこないのに、税金がかかってしまいます。

つまり、キャッシュは入らないのもの、キャッシュを受け取る権利を得ているので、
これに対して税金が課税されるというわけですね。

たしかに、会計上、キャッシュインと、キャッシュインを得る権利を区別しないので、
これは理論的には仕方のないことではあります。

しかし、実際に経営している身にとってはやりきれません。

いやいや!収入はまだなのよ!と税務署に言いたいのですが、言ったからといって
どうにもならないので、泣き寝入りするしかありません。

つまり、キャシュが無いのに税金がとられるダブルパンチが避けられないのです。

 

キャッシュインを得る権利(未収金)は、実際にキャッシュインがあるまで
残り続けます。
この権利がなくなれば、貸倒損失として経費計上ができるので、このタイミングで
税金は減少することになります。

しかし、権利の貸し倒れが認められる要件は極めて厳しく、生半可な判断は
できません。

一度滞納が発生すると、このようなキャッシュフロー上の大問題が生じるのです。

対策は保証会社がベストか

不動産経営を蝕むシロアリである滞納ですが、防止する手段はいくつか有るようです。

その中で最も有効なのが、保証会社に加入することでしょう。
(今や常識になりつつありますね)

保証会社に入っていれば、家賃の滞納があっても一定期間は建て替えてくれますし、
滞納者との裁判も代行してくれます。
また、退去後の原状回復費も建て替えてくれるのです。

保証会社経由で家賃が振り込まれ続けるので、正直大家は滞納があってもわかりません。
保証会社から裁判の通知が来て初めて滞納があったことを認識するくらいです。
その後の裁判も全ておまかせですので、こちらの手を煩わすこともありません。

中古物件ですと、全オーナーが保証会社を使わない人であったり、保証会社の引き継ぎ
ができない場合もあります。

このような場合は、新しいオーナーが家賃の半額程度の保証料を負担して保証会社に
加入するという手が考えられます。
流石に、今の入居者に保証料を払ってもらうのは難しいでしょうから、新オーナー負担
が順当だと思います。

このような対応が必要な部屋が多いと、新オーナーにとって結構な負担になるケース
もありえます。

事前に確認し、物件価格の交渉に織り込むことも考えるべきでしょう。

© 2024 和田晃輔税理士事務所