確定申告の時期が近づいてきましたね。
不動産投資で個人名義物件を購入すると、確定申告で不動産所得の申告をすることになります。
サラリーパーソンの方は、ここで初めて、経費で節税するという、事業主だけの特権を手にすることになります。
もちろん、実際に使った経費だけを申告する人もいますが、所謂グレーゾーンや、明らかなブラックゾーンに切り込んでいく方もいらっしゃいます。
実は、不動産投資家が行った申告において、ほとんどの経費が否認されてしまった事例があります。
正直、税理士の立場では、よくこの内容で国税不服審判所まで行ったなと思いますが、非常に面白い裁決なので、今回は、この事例を通して、確定申告ではどこまで経費を計上することが可能なのか、考えてみることにしましょう。
ほとんどの経費が否認された事例
今回ご紹介する事例は、会社員が不動産投資を個人で行ない、その確定申告で申告した経費のほとんどが否認された事例です。
否認された経費をざっと見ると、以下のようになります。
- 自動車の経費(減価償却費、自動車税、保険料、ガソリン代など)
- 自宅の賃料と水道光熱費
- インターネット使用料、電話代
- 飲食費、タクシー代
- その他経費(祈祷料、宅配便代、電子機器代、事務用品代、カード年会費、スーツ代、作業着代、廃品処理代、備品代、自転車代、コンタクトレンズ代etc)
- 奥さんに支払った青色事業専従者給与
経費として考えられるだけの経費を詰め込み、そのすべてが否認されたという形ですね。
不動産投資家の皆様も、上記の経費を申告に入れている方も結構多いのではないでしょうか?
結果として、この方の確定申告で経費として認められたのは、賃貸物件に係る固定資産税、修繕費、減価償却費、借入金利子、管理委託費程度になってしましました。
それ以外は全額否認です。
つまり、グレーゾーンの経費がすべて否認されたということですね。
それぞれ、どのようなロジックで否認されたのか見てみましょう。
以下の引用は、断りがない限り平成23年3月25日国税不服審判所裁決の裁決文からの引用になります。
少し長文の引用となりますが、国税側のロジックがとてもわかりやすく出ているので、そのまま引用しています。
自動車の経費(減価償却費、自動車税、保険料、ガソリン代など)
この方は、遠方にいくつか一棟物の物件を保有していたので、その物件を見回るために自動車を使用していた。だから自動車は事業用として経費になるのだ。と主張していましたが、全額否認になりました。
請求人は、家族旅行の費用をも必要経費に算入して申告していること、これらの家族旅行の際、目的地や空港との往復に高速道路等の有料道路を使用していること、及び、自宅近くの飲食店、コンビニエンス・ストア、スーパーマーケット及びデパート等の駐車料金も必要経費に算入して申告していることが認められる。これらの事実によれば、請求人は、車両を日常的に家事用として使用していたと推認することができるから、車両に係る経費は、家事上の経費であり、仮に、車輌に係る経費のうちに不動産賃貸業に係る業務の遂行上直接必要であった部分を含むものがあったとしても、家事関連費に該当し、請求人において、取引の記録等に基づき、業務の遂行上直接必要であった部分を明らかにしない限り、車両に係る経費を必要経費に算入することはできないこととなる。
プライベートでも使用していた自動車を、不動産投資、不動産賃貸業でも使用しているから経費にしたというロジックになっています。
では、重要なことは本当に不動産賃貸業で使っていたかどうかですね。
請求人は、車両は、不動産物件の取得を目的とする現地調査及び遠隔地に散在する貸付不動産の現況確認に使用しており、総年間走行距離7,000キロメートル程度に対し、不動産賃貸業以外に利用した年間走行距離は100キロメートル程度であるから、業務に必要な部分は客観的に明らかである旨主張する。しかし、請求人は、請求人が主張する不動産物件の取得のための現地調査について、いつ、どこの物件の調査を行ったのかなどの具体的内容を証拠上明らかにしていない。また、g物件及びh物件は、いずれもf市の不動産業者に管理を委託しており、さらに、原処分関係資料によれば、k物件については、不動産業者が賃借人から家賃を徴収し、請求人の銀行口座に振り込まれていたことが認められるから、本件各年中において、請求人がこれの物件の現況確認等のために車両を用いて現地を訪れなければならなかった事情は見当たらず、実際に現況確認等を行ったことがうかがえる証拠もない。
不動産管理会社に物件管理を委託している以上、実際に自動車に乗って物件に行くことなんてそう多くないはずだし、実際に見に行っていたという証拠を何一つ提示できていないというわけです。
そのため、自動車を仮に不動産賃貸業で一部使用したとしても、その使用した部分を明示できないので、全額が否認されたというわけですね。
自宅の賃料と水道光熱費
この方は、本業で勤務する会社の借上げ社宅であった自宅の賃料の50%を経費にしていました。また、それに合わせ、自宅の電気代など水道光熱費の50%も経費にしていました。が、その全額が否認されています。
本件住居の2部屋部分40平方メートル程度を、不動産賃貸業の用に供していたから、福利用借上住宅使用料の全額及び本件住居の水道光熱費の50パーセントを必要経費に算入すべきである旨主張し、当審判所に対し、事務所使用部分を示した本件住居の間取図を提出している。しかしながら、請求人は、g物件及びh物件の管理をf市内の不動産業者に委託していること等から、請求人が行うべき不動産所得に係る事務は、パソコンによる帳簿の作成などの限定的なものにとどまると推認され、請求人の4人家族の住居である本件住居のうちの2部屋部分40平方メートルもの空間を、常時、事務所として使用して行うべき不動産所得に係る事務があったとは認められない。そうすると、上記間取図上、事務所と記載されている部分が、実際に常時事務所として使用されていたとはいえず、本件住居の水道光熱費の50パーセントが業務の遂行上直接必要であったとも認められない。
つまり、物件を自主管理でもしない限り、不動産賃貸業をするのにそんなにスペースはいらないでしょ。ということですね。
不動産投資に限らず、不動産賃貸業はそれほど物理的なスペースが必要な事業ではありません。
ぐうの音も出ない正論です。
インターネット使用料、電話代
この方は、インターネットのポータルサイトで物件探しをしていたし、電話やメールで賃借人や修繕業者、不動産会社とやり取りしていたのだから、経費になるのだと主張しましたが、こちらも全額否認です。
不動産投資家も、ポータルサイトで物件を探すし、メールや電話で色々な人とやり取りしますから、これも経費になりそうですが、ダメだったのですね。
請求人が必要経費に算入されるとした通信費のうち、原処分庁が必要経費への算入を認めなかった通信費は、本件住居に設置されたパソコンに係るインターネット利用料、本件住居に設置された固定電話代及び携帯電話代であることが認められる。
請求人は、上g物件及びh物件について、f市内の不動産業者に管理を委託しているから、請求人が行うべき不動産所得に係る事務は極めて限られたものになると考えられ、また、業者に管理を委託していないi物件及びk物件の賃借人又は修繕業者等に連絡することがあったとしても、請求人が、固定電話及び携帯電話を、不動産賃貸業に係る連絡のみに使用していたとは考え難い。また、請求人の自宅である本件住居に設置されたパソコンについては、家族も利用するのが通常であるから、不動産賃貸業のみに使用していたとは考え難い。
そうすると、請求人が不動産賃貸業のためにインターネット及び電話を利用することがあったとしても、これらの利用料は家事関連費に該当するものといえるから、請求人において、取引の記録等に基づき、インターネット利用料及び電話代のうち、不動産賃貸業の遂行上直接必要であった部分を明らかにしない限り、その全額について必要経費に算入することができないこととなる。
仮にパソコンや携帯を不動産業で一部使用していたとしても、プライベートと共用であったため、事業に使用していた部分を明示しない限り、経費にはならないと判示されています。
飲食費およびタクシー代
不動産投資は物件購入が重要であり、その物件購入のための交際費やタクシー代は経費になると主張しましたが、全額否認でした。
請求人は、飲食時における情報収集の内容や現地調査の対象となった物件などについての具体的な説明や、それを合理的に裏付ける証拠は提出していない。かえって、当審判所の調査の結果によれば、請求人が飲食の相手方として仕訳日記帳の摘要欄に記載している者の中には、H社の同僚等が含まれていること、上記タクシー代の支払が年間200件を超え、その多くが飲食店で飲食をした日と同じ日に支払われていることが認められ、これに、請求人が、平日はH社の執行役員として同社に勤務していたことを併せ考えると、請求人が主張する飲食代及びタクシー代の多くは、請求人が同僚等との飲食に際して支払った飲食代及びその際のタクシー代であったとも推認される。
実際にどの飲食代やタクシー代が物件購入のために必要であったのかを証明できていないし、なんなら同僚との飲み代が大半であったということですね。
不動産投資の情報交換だと主張したようですが、認められませんでした。
その他経費(祈祷料、宅配便代、電子機器代、事務用品代、カード年会費、スーツ代、作業着代、廃品処理代、備品代、自転車代、コンタクトレンズ代etc)
このあたりは、一つ一つではなく、まとめて否認されています。
納税者の側で、経費性を証明しなかったので、全て切り捨てられたというわけです。
詳細は判決文に記載が無いのでわかりませんが、どのような経費だったのかはなんとなく想像がつきますね。
奥さんへ支給した青色事業専従者給与
青色事業専従者給与は、一定の条件を満たした場合に、親族に支払った給与が経費として認められるというものです。
これも今回のケースでは全額否認されています。
請求人は、妻Jが、貸付不動産の賃借人、修繕業者等との連絡及び不動産物件の取得を目的とする調査等に従事しており、請求人の不動産所得を生ずべき事業に専ら従事しているので、同人に対する給与は、不動産所得の金額の計算上控除されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が、貸付不動産の管理のほとんどを貸付物件が所在するf市内の不動産業者に委託していることからすれば、請求人の不動産所得に関連する電話や郵便物の発送及び受渡しが日常的に頻繁に発生しているものとは到底考えられないから、妻Jが行う電話の取次ぎや郵便物の発送及び受渡しは、社会通念上、夫婦の相互扶助の範囲内の行為あるいは日常生活の一環として行われている行為にすぎないというべきである。
また、請求人は、妻Jが、インターネットを通じて、毎日数時間かけて新しい物件情報の入手作業をしていると当審判所に対して説明するにとどまり、この点を含め妻Jが請求人の不動産所得を生ずべき事業に専ら従事していることを、合理的に裏付ける証拠の提出はない。
管理会社が存在する以上、不動産賃貸業をしているからと言って発生する事務作業は、非常に些細なものであって、仮にその手伝いをしているからといって、それは夫婦の相互扶助の範囲内であって、実際に給与を発生させるような労務の提供とは言えない、ということですね。
この青色事業専従者給与については、別途解説記事を後日作る予定です。
理屈がつけば経費になるのではない
税理士が書いた本にもよく記載があるのですが、「経費にするには、経費になるロジックがあれば良い」という言葉を聞いたことのある方も多いでしょう。
特に、書店で販売されているカジュアルな節税本には、根拠もなく以下のように書いてあるのをよく見ます。
経費とは売上に関係するすべての支払いを言うのであって、合理的な説明ができれば何でも経費になるんですよ~みたいな。
実際に細かく読むと、そうは書いていないことが多いのですが、専門知識の無い方がななめ読みをすると、そうとしか読めない本や記事はよくあります。
自宅の賃料のうち50%は慣例として経費として認められるという話もありますし。
常識で考えれば、なんの根拠もない50%という数字が自動的に認められることはありえないとわかりますよね。
ただ、上の例で見たように、納税者側は、物件を見に行くとか、物件をネットで探すとか、業者と電話したとか、飲み屋で情報交換だとか、事務作業を妻にしてもらっていたとか、それなりに合理的な説明をしても、全額否認という例は別に珍しくありません。
いったい何が本当なんだ!ということになるので、大本である所得税法で、経費とはなにか確認してみましょう。
所得税法第37条 必要経費
その年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
所得税法第45条 家事関連経費等の必要経費不算入等
居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額の額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
所得税施行令第96条 家事関連費
法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
所得税において、いわゆるグレーゾーンと言われるものは、上記の所得税法第45条や所得税法施行令第96条に規定される、家事関連費ですね。
簡単に言うと、プライベートと事業が混在している経費ということです。
今回ご紹介した事例では、例えば自動車に関する経費、自宅家賃、インターネット代や自宅の水道光熱費、電話代など、全てそうですね。
これらの全てについて、納税者はプライベートでも使っていたが、しかし確かに事業でも使っていたと主張したわけです。
こういった、プライベートでの使用と事業での使用が明確に切り分けられない経費がどうなるのかというと、原則として経費にならないのです。
ただし、その例外として経費になる部分があることを定めたのが、施行令第96条なわけですが、その例外的に経費になる条件は以下のようなものです。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
つまり、プライベートの部分と、事業の部分が混在している場合には、その事業として使用した部分を明確に示すことができないと行けないわけです。
その観点で、前述の裁決文を読み直すと、全てそのラインにそって否認されています。
つまり、事業として使用している部分があるとしても、その部分を明確に納税者が示していないので、本則通りに全て否認するということですね。
グレーゾーンの立証責任は納税者にある
例えば、家賃の50%が経費にならないと否認されるなら、何%が適正かを税務署側で立証しなければならないのではないか?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。申告内容を否認するなら、その立証責任は税務署側にあるはずだと。
それはその通りなのですが、この点はこのケースでも以下のように言及されています。
必要経費についての立証責任は、原則として原処分庁にあると解すべきであるが、一般に必要経費は請求人にとって有利な事柄であり、請求人の支配領域内のこととして証拠資料を整えておくことが容易であるから、原処分庁が具体的な証拠に基づき一定額の経費の存在を明らかにし、これが収入との間に合理的対応関係を有すると認められる場合は、これを超える額の必要経費は存在しないものと事実上推定され、請求人は、経費の具体的内容を明らかにし、ある程度これを合理的に裏付ける程度の立証をしなければ、上記推定を覆すことはできないと解される。
つまり、税務署としては明らかに証拠から認定できる経費は税務署側で認定する。
(今回だと、固定資産税とか修繕費、管理費などですね)
しかし、その合理的証拠を超える部分の経費(いわゆるグレーゾーン)については、納税者の側でその存在を合理的に立証しない限り、存在しないものと推定され、その推定は認められてしまうということです。
何でもかんでも経費にして、その否認、つまり経費でない証明は税務署の仕事だと言う人がいますが、それは正しくありません。おそらく、税務調査を受けたことが無いのでしょうね。
とはいってもすべてが否認されるわけではない
上記のように、実は所得税において、プライベートと事業が混在している支出を経費にするのは、かなりハードルが高いのです。
例えば、自宅で使用しているインターネットの回線使用料を経費にするにはどうしたら良いでしょうか?
事業で使用した部分を明確に切り分けないと行けないわけですから、使用時間で分けるのがわかりやすそうです。
では、インターネットを使用する都度、事業で使用した時間とプライベートで使用した時間をエクセルに記録していくのでしょうか?実際、そうしないと明確に区分は出来ないわけですが、あまりにも非現実的ですよね。
家賃にしても、事業で使用した部分を明確に区分しようとすると、独立した事務所が家の中に無いと難しいでしょう。つまり、自分の寝室にパソコンをおいて、一部事業でその部屋を使用したとしても、どのような基準でプライベートと事業を切り分けるのでしょうか?
時間で分けるだけでは足りないでしょう。事務所として使用した面積と使用時間で分けるべきですが、そのパソコンをおいている机の面積だけ経費にするのでしょうか?しかし、その机自体もプライベート使用のものなら、何が事業部分なのか????
家事関連費については、こういう事になりがちなわけですが、では税務調査が入るとすべて否認されてしまうのかというと、そういうわけでもありません。
実際のところ、今回ご紹介した事例のように、否認できるものがすべて否認されるというケースは結構まれです。
ここまで否認されまくるのは、「やりすぎ」のケースが多いですね。
今回のケースでは、以下の部分です。
- 必要経費として申告した経費の合計が、不動産収入の2~3倍となっている
- 不動産所得が赤字になったので、給与に係る源泉所得税の還付を受けている
不動産収入よりも経費のほうが2倍から3倍あるというのは、率直に言って明らかに異常ですし、そういった異常な状態を作り出すことで還付まで受けていたわけですから、税務署も本気になって当然と言えます。
ですので、このようなやりすぎは避けなければならないというのは大前提になります。
一般的には、ある程度合理的な説明ができれば、インターネット使用料なども経費として認められるケースが多いですし、例えば、50%を経費にするのは大きすぎるので、30%に修正してくれませんか?みたいになることが多いです。
しかしながら、グレーゾーンの経費を否認しようと思えばいつでも否認できる法律上の根拠を税務署は持っているのだという点は、是非認識しておいていただきたいです。
どこまでがやりすぎになるのか、これは誰にもわかりません。
具体的なボーダーラインを引くことは誰にも出来ません。
ですので、常に否認のリスクがあることを理解し、それに対する反論を考えておく必要があるわけです。
不動産投資ってそんなに経費いらないでしょ。という大前提
あと、この事例で特に感じるのは、「不動産投資、不動産賃貸業って、そもそもそんなに手間がかからないでしょ」という税務署側の理解ですね。
手間がかからないということは、経費もかからないということです。
不動産賃貸業は、自主管理でもしていないのであれば、通常は細かな事務作業や物件管理は管理会社がやるので、オーナーが多くの経費をかけて行うことは通常ありません。
また、個人で行う規模であれば、給与を払って人を雇うような事務量も無いですし、作業スペースも必要ありません(資料を保管するくらいでしょうか)。
こういった税務署側の理解は、基本的に正しいので、「いや!俺にはこういった仕事があるので経費がかかっているのだ!」と主張するなら、より詳細に、自分が不動産賃貸業のなかでどのような仕事をし、その仕事が不動産賃貸業に必要で、かつ実際にその仕事を行っていることを、明確に説明できるようにしておくことが必要になるでしょう。