不動産投資は事業です。

一般に収益用に不動産を購入し、保有して行くことを不動産投資と呼びますね。

このブログの名前も不動産投資としています。

ただ、個人的にこの呼び方はいささか語弊があると感じています。

「投資」のイメージ

投資とは、通常金を出す行為です。金を出して、そのリターンを狙うのですが、
出した金を運用するのは他人です。

株式がまさにそうでしょう。

一般的には、株主は金を出すだけです。
その金を運用するのはあくまで会社であり、その成果は配当や売却益の形で
株主に還元されます。

債券はどうでしょうか?

金を出した後は、金利が安定的に振り込まれるだけですよね。

Jリートもそうですね。

株主は金だけをだし、不動産の運用は運用会社が行います。
その成果を配当として受け取るわけです。

(株の短期売買やFX、商品先物は投資ではなく投機ですので、ちょっと違いますね)

金を出し、あとはお金が振り込まれるのを待っているだけ?
失敗したら、出した金を失うだけ。

成果に対する受動性と、損失が出資分に限定される限定責任が特徴であるように
思います。

不動産投資は完全な事業

一方、不動産投資は完全に事業です。

会社を設立し、銀行から借入という形で資金調達し(財務活動)、
物件を購入し(設備投資)、入居付け(売上)や賃貸・建物管理をし(仕入れ)
最終的には物件を売却や建て替えなどで出口を取らなければなりません。

資金調達→設備投資→仕入れ→売上→資金再投資

上はトヨタから、下は街の八百屋さんまで、すべての事業が同じことをしているのです。

もちろん、不動産投資の多くの部分は外注することができます。

物件は仲介業者に、管理は管理会社にそれぞれ大部分を委託することができます。

ただ、これはあなたのお金をみんなが運用しているのではありません。

どこからどのように資金調達するか、設備は何に投資するか、管理はどの会社に
依頼するか、賃貸付はどの業者に依頼するか、リフォームはどのように行うか…

すべての「決定」は自分でしなければなりません。

この「決定」を誰も代行してくれないのです。
というか、代行できません。

経営の責任を負っているのは経営者ですので、他の人はその責任まで
代行してくれはしないのです。

この点は、あらゆる「経営者」と同じですね。
経営者の決定を実行するのが、外注業者か、社員かの違いはあるでしょうが、
経営者としての本質はトヨタの社長もあなたも同じなのです。

そして、経営者は経営の失敗の責任を負うのです。

銀行から調達した資金を返済できないのは、経営者の責任です。

経営者以外に、その責任を代行できる人はこの世のどこにもいません。

「投資」と考えるがゆえの誤謬

不動産投資を「投資」と考えてしまうことによる最大の誤謬は、
経営者としての決断さえも外注してしまうことです。

不動産会社に言われるがまま物件を購入し、ローンアレンジを受け
資金調達も言われるがまま、管理会社もそのままか、ひどい場合は
仲介業者のサブリースまで受けます。

こうなると、確かに印象としては「投資」でしょうね。

一切決定せず、受動的に、言われるがまま事業を行っていく。
通帳にお金が入っていくのを待っているだけ。

しかし忘れないでください。見た目は投資ですが、実際は事業です。

言われるがまま事業を行って、成功すればそれで良いかもしれませんが、
失敗したら責任を負うのは、決定を代行してくれた不動産業者やコンサルタント
ではなく、あなたなのです。

不必要に恐れる必要もないが、過度の楽観も禁物

不動産は、正確な知識と事前の適正なシミュレーションさえあれば、
おそらく非常に手堅い事業です。
正確な知識も、本物の不動産会社レベルは不要です。
不動産会社のいていることの適正性を点検できる程度でOKです。
この程度の知識は、多少本を読んで勉強すればすぐに身につきます。

そもそも、全くの部外者が新規に参入して、それなりに成果を挙げられる業界は
他に無いのではないでしょうか?

また、多くの業者は非常に良心的で、適切な付き合いさえすれば普通に社員を雇う
よりも大きな成果を挙げられるでしょう。
このように優秀な外部業者にも新規参入者が相手にしてもらえる時点でとても
恵まれた事業環境です。

サラリーマンでも十分に成果を上げることができる事業ではあります。

ただし、他人が自分を儲けさせてくれることはありません。
自分が経営者として、利益を確保しなければならないのです。

自分が経営者であって、責任は全て自分にあるのだという点だけは、
忘れないようにしたいものです。

 

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