そんなに良い物件なら自分で買えば?という疑問

不動産投資をしていると、熱心に物件を勧めてくる営業に、
一度はこのような疑問を抱くのではないでしょうか?

「そんなに良い物件なら、自分で買えばどうですか?」

この問いは、いくつか回答があります。

本当に良い物件は、もちろん業者が買っている

まず大前提として、本当に安くて良い物件は、業者が購入しています。

不動産会社も固定費の足しにするとか、一定期間保有して更地にして
売るとかの目的で、長期融資を受けて物件を購入することはあるのです。

また、余程の割安であれば、自社購入して修繕し、値段を大幅に上げて
再販する、いわゆる転売も行うでしょう。

そのように購入している物件は、正直かなり良い物件が多いですね。

よくそんな物件購入できましたね!というようなモノです。

このような、業者も持ちたい物件は、当然業者が購入しています。
わざわざ我々エンド客に紹介などしません。

よって、

「良い物件は業者が買っている」

というのは、紛れもない事実ですので、これを認識しておく必要があります。

そう考えれば、不動産業者に、良い物件なら自分で買えば?という問がナンセンス
であるとわかるというものです。

自分で欲しい物件でないから、エンド客に紹介しているのです。

良い物件でも、業者も買えない時がある

とはいっても、不動産業者とはいえ買いたくても買えないときもあります。

我々と同じで、融資が出ないときです。

すでに保有部件規模が大きく、追加で融資を受けられない場合もあるでしょうし、
受けれたとしても1年返済の短期融資の可能性もあります。

こうなってくると、余程の割安で短期転売が必ずできると確信を持てなければ、
自社購入はためらわれるでしょう。

そのような場合は、当然次善の策として、仲介に入って仲介手数料を得る
という手法を取ることになります。
儲けは減りますが、儲けられないよりはマシですよね。

また、不動産会社というのは意外に銀行与信が小さく、満足に融資を
受けられない業者も多いです。

そのような会社は、ノンバンクというよりは高利貸しというべき会社から
資金調達をしなければならないので、資産保有リスクが大きくなるため、
仲介をメイン業務にしていることが多いです。

保有ではなく売買の方が資金効率が良い

不動産を実際に保有している投資家はわかると思うのですが、不動産の保有
による収入とは、実際にはそれほど大きなものではありません。

もちろん、純資産の改善と売却キャッシュフローを狙えば十分投資として成立
する物件であっても、保有期間中はそれほど現金が増えはしません。

一方で、不動産業者は常時運転資金を必要とします。

家賃、従業員や社長の給与、物件を仕入れる資金など、常に資金を必要とします。

資金をぐるぐると回しながら増やしていく必要があるのです。

そのようなときに、不動産を長期保有するというのは、実はあまり資金効率
の良い方法ではありません。

結果として、不動産を長期保有するよりも、何件も売買できたほうが、
資金効率としては非常に良いのです。

このため、長期保有ではなく売買仲介を選択することも十分に考えられることです。

エンド投資家は待っていても良い物件は回ってこない

割安の物件を見つけるというのは本当に難しいことです。

というのも、普通はそのような物件は業者が長期保有目的で購入するか、
あるいは転売目的で購入するからです。
当然ながら、本当に良い物件はエンド客に紹介などしません。

さらに、業者はローン特約なしが普通ですし、瑕疵担保免責も境界非明示も普通
ですので、エンド客に売るよりも手間がかかりません。
瑕疵担保免責で売却したのに、売却後にごちゃごちゃと文句を言ってくる
客というのは結構いるようなので、そのような面倒を避けるためにも業者
が買ってくれるのであれば元付業者も業者に売りたがります。

このため、元付業者としても、業者が売り主も納得する値段で購入するなら、
業者に売る方を選択するものです。

このように考えると、我々エンド客が、割安な不動産を手に入れることが
いかに難しいかご理解頂けるでしょう。

一方で、業者にも事情があり、自社で買い取りできないようなケースでは
エンド客に紹介してくることもあるでしょう。

また、収益物件に慣れていないような業者では、そもそもの値付けが
間違っていることもあります。

また、業者に売ると「割安で売らされた」と売り主が不満を持つこともあるので、
売り主が素人だと売り先として業者をすぐに持っていくことはためらわれたりも
するみたいですね。

このように、割安物件が手に入る小さな可能性も常に存在します。

そのように考えると、業者の紹介を待ちながら、「そんな良い物件なら自分で買えよ」
などと斜に構えているだけでは、良い物件はいつまでたっても買えません。

待っているだけで良い物件が買えるということは絶対にないのです。

不動産の購入というのは、本当に小さい可能性を見つけるために、大きな努力
を要するのです。

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