地方物件の注意点 経費率が高い理由

地方物件を検討する際に要注意なのが、経費率の高さです。

このため、世田谷の低層マンションと、地方の7階建てマンションは、
表面利回りが同じでも、実質利回りは結構差がでます。

地方は表面利回りの高い物件が多いですが、都内の7%と地方の9%では、
都内の7%のほうがキャッシュが残ることもままあることです。

意外な盲点ですので、注意しましょう。

※以下の記述は、大規模マンションを想定しています。
築古木造などなら異なります。

固定資産税が高い

地方物件は、固定資産税が高いです。
これは、首都圏と比較して相対的に高いという意味です。

先ずは、固定資産税の計算方法を確認しましょう。

土地:土地の固定資産税評価額×1/6×1.4%
建物:建物の固定資産税評価額×1.4%

土地は、基本的に固定資産税評価額の1/6に課税されますので、全国どこでも
価格差は目立つほど出ることはありません。
このため、首都圏だろうが地方だろうが、土地の固定資産税にそこまで差は出ません。

大きな差がでるのが、建物の固定資産税です。

建物の固定資産税評価額は、一種の積算です。
コンクリートか木造か、エレベータがあるかないかなどが評価額を決めます。

このため、首都圏だろうが地方だろうが、同じ大きさスペックの建物は、
同じ固定資産税となります。
(固定資産税評価額の決定は市区町村が行うので、実際は自治体により差が出ます)

ただ、首都圏と地方では、同じ価格でも購入できる物件の大きさが全く違います。

例えば、首都圏で2億円だと、大体15~20戸程度のマンションしか買えません。
せいぜい3階建ての低層マンションでしょう。

一方、地方で2億円出すと、40戸程度の5階建てマンションが買えたりします。

ここが、固定資産税が高くなるポイントです。

つまり、固定資産税は積算ですので、物件規模が大きくなるほど高くなるのです。
結果、同じ2億円でも、地方物件の方が建物規模が大きくなるので、
同じ価格帯で比べると地方の方が固定資産税は高いのです。

ただ、マンションであればこの傾向にありますが、築古木造などであれば
そもそも建物自体に価値があまりないので、固定資産税は高くなりません。
この点では、築古木造のメリットではあります。

修繕費が高い

地方物件は修繕費が高くなります。

これも、絶対額が高くなるということではなく、首都圏に比べ相対的に
高くなるということです。

例えば、50㎡の2LDKなどの部屋であれば概ね30~40万円は原状回復で必要になります。
この金額は、東京だろうが札幌だろうが愛媛だろうが、同じなのです。

一方で、一部屋あたりの家賃は場所によって異なります。
このような部屋なら、世田谷なら10~20万円は取れるでしょう。
修繕費を4ヶ月もあれば回収可能です。

一方、地方であれば、同じスペックの部屋であっても、家賃は少なくなります。
地方だと、5万円程度になってもおかしくないでしょう。
とすると、修繕費を回収するためには8ヶ月は必要になるのです。

これが、地方物件の修繕費が相対的に高い要因です。
家賃が低い地方物件は、この点大きなデメリットを抱えてしまいます。

要は、家賃が高く取れる物件に対し、経費率が高くなってしまうというわけです。

物件メンテナンスコストが高い

物件のメンテナンスコストも地方の方が高いことが多いです。

これは、固定資産税が地方で高いのと同じ理由なのですが、
結局物件の規模が大きくなるからです。

都内で2億円であれば、土地も大きくて100坪で駐車場もなく、
植栽もほとんどありません。
また、建物自体も3階くらいでしょう。
このため、通常は掃き掃除を行って、植栽を年に2回も手入れすれば十分でしょう。
正直自主管理でも十分可能なレベルです。

一方、地方の物件は、2億円も出すと、広大な土地に1戸2台の駐車所、
公園のような植栽があったりします。
また、建物自体の規模も大きく、そのため清掃費もかなりかかります。

このようなことから、地方の物件は同じ価格帯の物件であれば、
首都圏よりも大きなビルマネジメントコストが必須です。

地方物件は高い経費率を補う利回りが必要

以上のような理由から、地方の物件は投資額に対する経費率が大きくなります。

結果、地方物件が高利回りであることは一種当然なことで、この経費率を
補って余りある利回りを確保しなければ、地方物件への投資は難しいのでは
と考えます。

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