富裕層、つまり不動産投資を始める前からある程度の資産や
収入を持っている人は、不動産投資で失敗している割合が
高いように思います。
資産家というより、収入の多いインカムリッチ層にその傾向が強いです。
その原因を考えてみると、以下の三点になりそうです。
属性が高いと、なんでも買えてしまう
属性が高い方は、どんな物件でも買えてしまう面があります。
言い換えれば、どんな物件でも融資が出るのです。
どのような立地、築年数にもかかわらず、また相場から著しく
割高であるにかかわらず、融資が出てしまうのです。
本来、どう見ても収支が合わない物件にも、その高い属性を担保にして
融資が出るのです。
これは、不動産のマイナス収支を他の収入で補えるからという
理由です。
最初から今持っている財産や将来の給与を返済に充てることが
前提になっている融資の組み立てにほかなりません。
決して物件の評価が高いのではなく、物件でマイナスになっても
返済が滞らなければ銀行としてはそれで良いのです。
しかし、そのような融資を受ける個人の側はたまったものではありません。
本来収入を得るために不動産を始めようと思っているのに、最初から銀行は
マイナスキャッシュを生活費から補填させようと思っているのです。
本当にひどい話ではないでしょうか。
サブプライムショック時に問題となった略奪的貸付に似ているとさえ
個人的には思います。
節税重視でコストや投資成果に対する意識が低い
ただ、銀行だけを責めるわけにも行きません。
投資を行う本人も、同様に責任があります。
富裕層の投資家は、所得税や相続税などの節税をメインに不動産を購入する
ことが多くあります。
これは、一面では非常に正しいことで、不動産を用いた節税策は上手く
導入できれば非常に効果的です。
普通に不動産投資をするよりも大きな効果を得られるでしょう。
しかし、それが昂じて、「節税になればどんな物件でも良い」
となってしまいがちです。
収支の合わない物件を節税になるからといって購入することは本末転倒です。
節税額では穴埋めできないマイナスが出る物件や、節税効果が終わった後に
どう処分するか想定できない物件を買ってしまいます。
このため、物件単体での投資成果にほとんど関心がありません。
物件の利回りや資産価値や入居率や管理コストに関心がありません。
持っているだけで税金が減る魔法の道具くらいの認識です。
他人が自分のためにベストを尽くして当然だと思っている
お金さえ払えばベストなサービスを受けられると思い込んでいます。
仲介手数料を払えば不動産会社はベストな物件を持ってくるし、
金利を払えば銀行はベストな融資をしてくれるし、
管理費を払えば管理会社はベストな管理をしてくれる。
その結果、
不動産仲介が熱心にすすめてきた物件を、何の批判もなく買ってしまいます。
ローンアレンジを受けた銀行でそのまま融資をうけます。
言われた修繕費をそのまま払います。なんなら大規模修繕もします。
確かにこうすれば楽ちんなのですが、本当にそれで自分に利益が残るのでしょうか?
自分が勤める会社であれば、この費用対効果を真剣に検討するのですが、
一度自分の事となるとその点に全く無頓着になってしまいます。
不動産投資家は事業主なのです。
物件を持ってくる不動産会社、融資する銀行、物件を管理する管理会社、
すべてがあなたから利益を得ようとしています。
これら外部業者と投資家は、根本的には利益相反なのです。
先方が取った利益分、自分の利益が減るのです。
もちろん、事業は相互利益がなければ成立しません。
お互いに利益を取り合わないと取引が成立しません。
しかし、投資家は相互利益の意識が薄く、やたらと値切るか、あるいは
全く利益に無頓着かです。
部下に対しては、指示さえすればベストな成果を持ってきてくれるかもしれません。
しかし、外部業者に何も言わなければ、先方はあなたから最大限の利益を得ようと
するでしょう。
これは別に非道徳的でもなんでもありません。
利益相反状態のなかで、相互利益の状態に持っていくのは事業主である
あなたの仕事なのですから。
他人は、放おっておいたら、あなたの分の利益を残さないでしょう。
なにせ、あなたの分の利益は、他人の利益の減少なのですから。
ですので、自分の分の利益は自分で確保しなければならないのです。