不動産投資をする上で、土地建物割合は極めて重要な要素です。
しかし、あまり気にしていない方が多いのが気になっています。
今回から以降4回に渡って、不動産の土地と建物にどのような金額をつけるか、土地と建物の金額によって何が変わるのか考えてみましょう。
シリーズ:土地建物割合
不動産の土地建物の金額を考えていますか?
第2回:はじめに売買契約書ありき~土地建物の金額の決め方①
第3回:売買契約書が税務署に否認される?~土地建物の金額の決め方②
第4回:売買契約書に土地建物をまとめて記載した場合~土地建物の金額の決め方③
第5回:土地建物比率で不動産鑑定評価が認められた事例
土地建物割合って何?
通常収益物件を取得する場合、土地と建物を一括して取得することになります。
このとき、売買代金を土地と建物にいくらで割り振るかが土地建物割合です。
例えば、1億円で購入したマンションを、土地5千万円、建物5千万円といった具体的な金額に按分することをいいます。
売買契約書に土地と建物の金額を直接記載する場合と、売買契約書に土地と建物の金額の合計額を記載し、後に土地と建物の金額を合理的に按分する場合の2つのパターンがあります。
土地建物割合は何に影響する?
土地建物割合は、実は賃貸経営上非常に重要な論点です。
建物割合がどの程度になるかにより、計上できる減価償却費が変化し、結果年間の税引後キャッシュフローが大きく変動します。
簡単な事例で見てみましょう。
前提:築25年の1億円RC、表面利回10%、経費率30%、金利2%期間25年のフルローン
- 土地:建物=80:20
- 土地:建物=20:80
土地建物の割合を変更しただけで最終的なキャッシュフローが大きく変化することがおわかりかと思います。
ご覧いただければおわかりかもしれませんが、この例はデットクロスの解説時に取り上げた例とほぼ同じです。
建物金額は減価償却費を通して年間のキャッシュフローに大きな影響を与えます。さらには、物件のデットクロスにも大きく影響するのです。
このため、物件購入の際に建物金額を大きくすることは大きなメリットがあります。
土地建物割合の決定方法は様々
建物割合を合理的な範囲で高くする、すなわち、建物金額を大きくすることは、減価償却費を通じて年間の税引後キャッシュフローの改善につながりますので、積極的に取り組むべきではあります。
ただ、あくまで「合理的な範囲内で」高くすることが必要です。
極端な割合を付したことで、税務上のトラブルになることは多いのです。
この建物金額の決定方法は実に様々な方法があります。
具体的な金額の決定方法は、別に記載します。